多くの金額が動くアパレル企業のクリアランスセールに近年大きな変化がありました。
それはセール開催時期の変化です。
近年、クリアランスセールの開催時期はどんどん前倒しになる傾向がありました。
夏のセールは6月中旬から始まり、冬のセールは12月中旬から始まるテナントも多く表れました。
消費に対して厳しい目を持つ消費者に、そのシーズンのものをよりお得に購入してもらうことでテナント全体の売上を上げることにつながると考えたのです。
しかし2012年、そんな前倒しになっていくセール時期に変化が訪れます。
それは大手百貨店、三越伊勢丹が夏のセール開催時期を遅らせる発表をしたのです。
それまで百貨店の多くが7月1日よりセールを開催していましたが、三越伊勢丹は2週間遅れの7月13日からセールを開始すると発表しました。
この理由はセールが早いことで本格的に暑くなる7月中旬や8月に、店頭から夏物がなくなってしまいお客様に迷惑がかかるため、と発表されています。
実際アパレル企業では夏のセール後の8月と冬のセール後の2月は売上が上がりづらい我慢の月と認識されています。
この三越伊勢丹の発表後、東急百貨店、駅ビル大手のルミネやファッションビルの109などが同じようにセール時期の開催遅れを発表しました。
また、テナントはセールを行っていても、企業によってはそのテナントの開催時期に合わせないというブランドも出てきています。
アパレル大手の三陽商会やオンワード樫山は、三越伊勢丹が発表した2012年、夏のセールは全ての店舗で7月13日よりセールを開催するということを発表しました。
つまりテナントが6月中旬からセールを行っているテナントであっても、7月13日までそのブランドではセールを行わないということになります。
全ての店舗に来店されるお客様に不平等がないようにとの配慮からこの決定に至ったとのことです。
しかしこの2012年夏のセールは結果として集客が分散し、あまりいい結果とは言えませんでした。
早くにセールが始まることになれてしまった消費者のとまどいが現れ、全体的に盛り上がりにかけたという意見が多く聞かれています。
これを受け、2013年は夏のセール時期を通常通り7月1日に戻すテナントも現れました。この数年の動きを見ると、
まだまだアパレル業界全体がセール開催時期について悩んでいるように見えます。
これからセール開催の時期がどのように変化していくか、見守る必要がありそうです。